診療のご案内

泌尿器科

赤ちゃんからお年寄りまで男女の尿(おしっこ)に関連した臓器(腎臓・尿管・膀胱・尿道)の病気を扱います。 また、男性生殖器(陰茎・前立腺・精巣)の病気の診療も行います。

男女共通のお悩み

  • 過活動膀胱

    尿意切迫感(せっぱくかん)といって、急に起こる我慢できない尿意を感じます。おしっこが近くなったり、トイレにかけこむけど間に合わない、パンツをおろす前に漏れてしまう(切迫性尿失禁)などの症状があります。膀胱が、脳の尿をためようとする命令を無視して勝手に縮んでしまうことが原因です。

    検査

    [超音波検査]おしっこをした後に、膀胱に尿が残っていないか確認します。

    [検尿]「おしっこに出血がないか」「細菌がいないか」など他の病気がないか確認します。

    治療

    薬での治療が中心になります。

    [抗コリン剤]おしっこを出そうとするとする神経の信号をやわらげます。(便秘・のどの渇き・目のかすみをおこすことがあります。緑内障のタイプによっては使用できません。)

    [交感神経β3作動薬]おしっこを出そうとする神経の信号をやわらげます。

    このような薬の治療でもなかなか改善しない方には、当院では「干渉低周波治療」を行っております。

  • 神経因性膀胱

    おしっこがうまく出ない、おしっこが近い方で、膀胱を縮める筋肉への神経が弱くなってしまった病気です。糖尿病、脳血管の病気、脊椎の病気・損傷、骨盤内の手術(大腸や子宮の手術)などが原因となることや、薬(睡眠導入剤、精神科で処方された薬)が原因でも神経が弱くなってしまいます。このため、膀胱がうまく縮まらなくなり、おしっこがうまく出きられない病気です。放っておくと、膀胱の筋力がますます弱くなったり、腎臓におしっこが溜まってしまって腎臓の機能が落ちてしまう可能性があります。

    検査

    [超音波検査]おしっこをした後に膀胱に尿が残っていないか、腎臓に尿が溜まっていないか確認します。

    場合によっては採血などをして、神経が弱くなってしまった原因を考えてゆきます。ただし、原因がわからない場合もあります。また、当院では、小型の携帯用の、膀胱用超音波画像診断装置「リリアムα-200®」を使用して、ご自宅での膀胱の状態を24時間計測することも行っております。

    治療

    まずはおおもとの原因となった病気の治療の確認と、今飲んでいる薬を続けるべきかどうか考えてみます。その後、薬による治療を行います。

    [交感神経α1受容体拮抗薬]おしっこの通り道を緩めて、尿を出しやすくします。

    [コリン類似薬・コリンエステラーゼ阻害薬]膀胱の筋肉が縮むのを少し手助けします。薬の治療でもうまくいかない場合は残念ながら次のステップにいきます。

    [自己導尿]1日数回、専用のチューブを使って、自分の手でチューブを膀胱まで入れて、おしっこを出します。当院の看護師が指導させていただきます。

    [尿道カテーテル留置]自己導尿が難しいようでしたら、尿のチューブ(尿道カテーテル)を入れたままの状態とします。1か月に1回程度の交換が必要です。お昼間はチューブの先にキャップをつけて活動しやすくして、夜間は尿のバッグにつなげて休む方法もあります。

  • 膀胱がん

    膀胱にできる「がん」です。おしっこに血が混じることで発見されることが多いです。タバコを吸われる方は、要注意です。

    検査

    [検尿]おしっこに血が混じっていないか確認します。

    [尿細胞診]そのおしっこに「がん細胞」がないか確認する顕微鏡の検査です。結果がわかるまで1週間程度かかります。

    [超音波検査]膀胱の中に腫瘍(がん)がないか確認します。おしっこのたまりが少ないときは、再度検査を行うこともあります。

    [膀胱鏡]膀胱内をカメラを使って観察します。当院では、患者様の負担の少ない、やわらかいタイプの膀胱鏡(軟性膀胱鏡)を使用しています。

    治療

    まずは手術を行います。

    [手術]「経尿道的膀胱腫瘍切除術」といって、尿道を経由して膀胱の腫瘍を切除する手術です。1週間程度(あくまでも目安です)の入院をして頂き、下半身麻酔(腰椎麻酔)を行い、尿道からカメラを入れて、カメラで観察しながら膀胱の腫瘍を専用の電気メスで切除します。切除した腫瘍は、顕微鏡の検査に出して、1)どのようなタイプの腫瘍か(組織型)、2)腫瘍の顔つきの悪さの程度はどうか(悪性度)、3)腫瘍の根の深さはどうか(深達度)を調べます。

    悪性度が低くて、深達度が浅い⇒治療はいったん終了ですが、再発予防で抗がん剤の膀胱内注入療法を行うことがあります。
    悪性度が高くて、深達度が浅い⇒追加治療として、BCG(ウシ結核菌)の膀胱内注入療法を行うことがあります。
    深達度が深い(必ず悪性度は高いです)⇒当院での経尿道的膀胱腫瘍切除術では切除できていない「膀胱がん」です。開腹手術や、抗がん剤点滴治療が必要となるため、連携病院をご紹介させて頂きます。

  • 腎臓がん

    腎臓にできる「がん」です。以前は、おしっこに血が混じる、側腹部の痛み、お腹の腫れで見つかることの多かった病期ですが、最近は、超音波検査やCT検査で偶然見つかることが多くなってきました。

    検査

    [超音波検査]腎臓に腫瘍がないかどうか確認します。

    [CT検査]腎臓がんは、CT検査(近隣の総合病院に依頼いたします)が有用です。

    治療

    手術での治療が基本となるため、連携病院にご紹介させて頂きます。

  • 急性腎盂腎炎

    腎臓に細菌感染をおこした状態です。高熱とともに、左右どちらかの背中の痛みを感じます。膀胱炎をおこした細菌が腎臓まで上がってきて感染した場合(単純性腎盂腎炎)と、結石などがつまって、尿の流れが悪くなって感染した場合(複雑性腎盂腎炎)があります。

    検査

    [検尿]おしっこに細菌感染がないかどうか確認します。

    [尿培養検査]おしっこを培養という検査に提出して、原因菌を調べます。

    [採血]細菌感染による炎症の程度を確認します。

    [超音波検査]尿の流れが悪くなっていないかどうか確認します。

    治療

    薬による治療が必要です。

    [抗菌剤]抗菌剤(抗生物質)による治療が必要です。炎症の程度が軽ければ、内服薬での治療になりますが、炎症の程度が強ければ、当院入院の上、点滴による治療が必要となります。さらに炎症が強く、全身に細菌が回ってしまう状態(敗血症)になってしまった場合は、高次病院をご紹介させて頂いております。

  • 尿管結石

    腎臓でできた結石が、尿管につまってしまう病気です。尿の流れが悪くなってしまい、結石がつまった方の脇腹や下腹部の痛みを認めます。尿の流れが完全にふさがってしまうと、激痛となり、嘔吐、冷や汗などの大変な症状も出てきます。

    検査

    [検尿]おしっこに血が混じっていないか確認します。

    [超音波検査]結石で流れが悪くなった尿が、腎臓にたまっていないか確認します。

    [レントゲン検査]尿の通り道に、結石のカゲががないか確認します。

    [CT検査]結石の痛みに似た病気は他にも多くあるので、診断がつかない場合はCT検査(近隣の総合病院に依頼いたします)を行うこともあります。

    治療

    とにもかくにも痛みのコントロールをします。

    [鎮痛剤]座薬の痛み止めが一番ききますが、ぜんそくのある方、胃潰瘍のある方は注意が必要です。結石自体の治療は、小さな結石であれば、内服薬(尿管を緩める作用のある薬)と飲水で自力で出るのを待ちます。大きな結石の場合は、自力で出すことが難しいので、体外衝撃波結石破砕術(ESWL:体の外から結石に向かって衝撃波を与えて結石を小さくする治療)や、経尿道的尿管結石砕石術(TUL:下半身麻酔をして尿道からカメラを入れてレーザーで結石を直接くだく治療)の適応となるため、他院をご紹介させていただくことになります。

  • 膀胱結石

    膀胱内で結石ができる病気です。腎臓でできた結石が膀胱まで落ちてくるも、前立腺肥大症や神経因性膀胱などで体の外に出ることができず膀胱内で大きくなってしまう場合と、慢性的なおしっこの細菌感染で濁ったおしっこから結石ができてしまう場合があります。

    検査

    [検尿]おしっこに血が混じっていないか、細菌感染がないか確認します。

    [超音波検査]膀胱に結石のカゲがないか確認します。

    [レントゲン検査]膀胱に結石のカゲがないか確認します。

    [膀胱鏡検査]実際に結石を確認するため、また、他に原因がないかどうか確認するために行います。

    治療

    手術による治療が必要になります。

    [手術]「経尿道的膀胱結石砕石術」といって、尿道を経由して膀胱の結石をくだいて取り出す手術です。1週間程度(あくまでも目安です)の入院をして頂き、下半身麻酔(腰椎麻酔)を行い、尿道からカメラを入れてカメラで観察しながら膀胱の結石を専用の器具で小さくして取り出します。

  • 慢性腎臓病

    主に糖尿病や高血圧症などの影響で、腎臓の機能の低下を認めます。慢性腎臓病は、透析治療の予備軍です。成人の8人に1人に慢性腎臓病の疑いがあるといわれており、残念ながら熊本市は全国のなかでも、特に慢性腎臓病の方が多いことが知られています。

    検査

    [検尿]おしっこに血、たんぱく、糖がまじっていないか確認します。

    [採血]腎臓の機能を確認します。

    [超音波検査]腎臓の大きさや状態、他に腎臓の機能を低下させる病気がないか確認します。

    治療

    原因の病気(糖尿病や高血圧症など)の治療が主となります。こちらに関しては専門の医療機関をご紹介させていただきます。また、当院は「熊本市慢性腎臓病(CKD)病診連携システム」に登録しております。詳しくは、熊本市のホームページ病診連携システムページをご確認下さい。ページはこちら

男性のお悩み

  • 前立腺肥大症

    前立腺(精液をつくる場所)が年齢とともに大きく肥大します。原因ははっきり分かっていません。おしっこが出にくい、時間がかかる、トイレが近いなど様々な症状を起こします。放っておくと、おしっこが全くでなくなること(尿閉)があります。

    検査

    [超音波検査]おしっこをした後に膀胱に尿が残っていないか、前立腺の大きさはどのくらいかなど確認します。

    [直腸診]肛門から指を入れて実際に前立腺を触って、前立腺の状態をじかに観察します。

    [採血]前立腺がんが隠れていないか採血で確認します。

    治療

    当院では薬物療法および手術療法を行います。

    [交感神経α1受容体拮抗薬]前立腺の緊張を緩める薬です。

    [5α還元酵素阻害剤]前立腺の大きさを小さくします。

    [ホスホジエステラーゼ阻害剤]前立腺の血のめぐりを良くします。(ただし心臓の弱い方は使用できません)

    [その他]植物由来製剤、漢方薬など。手術療法として、本年より、接触式レーザー前立腺蒸散術(CVP)を始めました。

  • 前立腺がん

    前立腺(精液を作る場所)にできる「がん」です。近ごろ、増加傾向にある病気です。初期の前立腺がんは症状がありません。

    検査

    [採血]採血で前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSA(前立腺特異抗原)を測定します。PSAを採血する際には、射精や大腸カメラなどでも上昇することがあるので注意が必要です。

    [直腸診]肛門から指を入れて実際に前立腺を触って、前立腺の状態をじかに観察します。

    [超音波検査]前立腺のかたち、大きさなどを確認します。

    [MRI検査]これらの検査で前立腺がんが疑われる場合はMRI検査(近隣の総合病院に依頼いたします)を行います。さらに前立腺がんの診断のためには、「前立腺針生検」を行い(当院では1泊入院)、実際に前立腺の細胞を回収してきて、顕微鏡検査で‘がん細胞‘の有無を確かめる必要があります。

    治療

    前立腺がんの診断がついた場合には、CT検査(近隣の総合病院に依頼いたします)などで、転移がないかどうか確認した後、前立腺がんの状態、転移の有り無し、年齢、全身の状態などを総合的に考えて、治療方針を決定します。手術療法、放射線療法(外照射、内照射)、重粒子線治療、ホルモン治療などがあります。当院ではホルモン治療は外来通院にて行っております。他の治療に関しましては、連携病院をご紹介させていただいております(紹介病院で治療された後の経過観察は当院でも行っております)。

  • 急性前立腺炎

    前立腺(精液をつくる場所)に細菌感染をおこした状態です。高熱とともに、おしっこの痛み、おしっこが出にくいなどの症状を認めます。

    検査

    [検尿]おしっこに細菌感染がないかどうか確認します。

    [尿培養検査]おしっこを培養という検査に提出して、原因菌を調べます。

    [採血]細菌感染による炎症の程度を確認します。

    [超音波検査]前立腺の状態を確認します。

    治療

    薬による治療が必要です。

    [抗菌剤]抗菌剤(抗生物質)による治療が必要です。炎症の程度が軽ければ、内服薬での治療になりますが、炎症の程度が強ければ、当院入院の上、点滴による治療が必要となります。

  • 急性精巣上体炎

    精巣上体(精巣の上にある射精前の精子がいったんたまる場所)に細菌感染をおこした状態です。高熱とともに、陰嚢のはれ、痛みを認めます。

    検査

    [検尿]おしっこに細菌感染がないかどうか確認します。

    [尿培養検査]おしっこを培養という検査に提出して、原因菌を調べます。

    [採血]細菌感染による炎症の程度を確認します。超音波検査)精巣、精巣上体の状態を確認します。

    治療

    薬による治療が必要です。

    [抗菌剤]抗菌剤(抗生物質)による治療が必要です。炎症の程度が軽ければ、内服薬での治療になりますが、炎症の程度が強ければ、当院入院の上、点滴による治療が必要となります。

  • 慢性前立腺炎

    前立腺(精液をつくる場所)に炎症をおこした状態です。おしっこをする時の違和感、おしっこが近い、会陰部(陰嚢と肛門の間の部分)の痛みや違和感を認めます。急性前立腺炎とちがって、発熱は認めません。細菌感染による炎症(慢性細菌性前立腺炎)と、細菌感染以外による炎症(慢性非細菌性前立腺炎)があります。慢性非細菌性前立腺炎の原因はよく分かっていませんが、前立腺の血液の流れがよくないことが原因のひとつにあげられています。

    検査

    [検尿]おしっこに細菌感染がないかどうか確認します。

    [採血・超音波検査など]他にちがう病気がないかどうか確認します。

    治療

    治療薬による治療となりますが、残念ながら特効薬はありません。

    [抗菌剤]細菌が原因の場合は有効なことがあります。

    [植物由来製剤]前立腺の血の流れを良くするといわれています。

    [その他]漢方薬など。

    [生活指導]長時間、すわっていることが悪いともいわれています。長時間すわらないことや、やわらかい座布団もしくは円座などを使ったり、自転車・バイクなどを控えるなどの生活習慣の見直しも必要です。

  • 慢性精巣上体炎

    精巣上体(精巣の上にある射精前の精子がいったんたまる場所)に炎症をおこした状態です。急性精巣上体炎とちがって、発熱は認めません。慢性精巣上体炎の原因はよく分かっていません。

    検査

    [検尿]おしっこに細菌感染がないかどうか確認します。

    [超音波検査など]他にちがう病気がないかどうか確認します。

    治療

    薬による治療となりますが、残念ながら特効薬はありません。

    [抗菌剤]細菌が原因の場合は有効なことがあります。

    [その他]漢方薬など。

  • 真性包茎

    余分な陰茎の皮膚が亀頭部をおおってしまい、手をつかって皮膚をおろしても亀頭部が完全に出てこない、‘むけない‘状態です。手をつかって皮膚をおろすと亀頭部が出てくる、‘むける‘包茎は、‘仮性包茎‘といい、保険診療による治療の対象外となります。老年期になって包皮が炎症を繰り返してしまい、真性包茎となることもあります。

    検査

    [観察]実際にみさせていただきます。

    治療

    手術による治療が主になります。

    [手術]当院では、日帰り(入院も可)で局所麻酔下に余分な皮膚の切開術(環状切開術:皮膚をぐるっと帯状に切り取る方法、背面切開術:皮膚の一部を切る方法)を行っております。小児の場合は、手術適応はかなり限られてきます。また、仮性包茎の手術は、保険診療外となりますので、当院では行っておりません。

  • 陰嚢水腫

    陰嚢に水がたまって大きくなってしまう病気です。精巣を包み込む‘精巣鞘膜(しょうまく)‘という膜の異常でおこります。小児の陰嚢水腫は、お腹の水が流れ込むことによっておこるので病態が異なります。

    検査

    [観察]実際にみさせていただきます。

    [超音波検査]陰嚢内に水がたまっているか確認します。

    治療

    [陰嚢穿刺(せんし)]まずは、陰嚢に針をさして、たまった水を抜き取ります。しかし、たいていの方はまたたまってしまいます。そのたびに陰嚢穿刺をおこなってもいいのですが、根本的な治療は手術になります。

    [手術]‘陰嚢水腫根治術‘を行います。当院に入院の上(1週間程度の入院)、下半身麻酔(腰椎麻酔)を行い、陰嚢の皮膚を5cm程度(水腫の大きさによります)切って、水がたまる原因である精巣鞘膜を取り除きます。

  • 勃起障害(ED)

    陰茎がうまく勃起しない、勃起しても中折れしてしまう状態です。陰茎への血の流れが悪いことや、勃起させる神経の障害によっておこりますが(器質的勃起障害)、気持ちの問題(心因性勃起障害)もあります。

    検査

    [問診]簡単な問診をさせて頂きます。

    治療

    [内服薬]バイアグラ®、シルデナフィル®(バイアグラ®のジェネリック医薬品)、レビトラ®、シアリス®の内服治療になります。ただし、保険診療でないため、自費診療となります。また、飲まれている薬の内容によっては、処方ができないことがありますので、必ず‘お薬手帳‘を持参されてください。

  • 男性更年期障害

    男性ホルモン量の低下により、うつ症状、意欲低下、性欲低下、勃起障害、ほてり・のぼせなどのいろいろな症状をおこします。

    検査

    [採血]男性ホルモン(テストステロン)や、男性ホルモンを放出させるホルモンなどの値を測定します。男性ホルモンは1日の中でその量が変化しますので、午前中に測定しないと正確な値がでません。検査をご希望される場合は、午前中の来院をお願い致します。

    治療

    [男性ホルモン補充療法]男性ホルモン量が少なく、男性更年期障害の診断となり、治療のご希望があれば、月に1回程度、男性ホルモンを補充するため筋肉注射を行います。

  • 男性不妊症

    妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交(妊活)しているにもかかわらず、一定期間(通常1年間)妊娠しない状態で、男性側に要因がある場合です。WHO(世界保健機関)の調査では、不妊症のうち、男性のみ原因がある(24%)、女性のみに原因がある(41%)、男女ともに原因がある(24%)、不明(11%)というデータもあり、約半数に男性側に要因があるようです。

    検査

    [観察]精巣や精巣からの血管に異常がないか実際にみさせていただきます。

    [精液検査]実際に精液の状態を確認します。精液検査は、初診時、当日にはできません。初診時に検査を行う日の予約を行っていただき、4日間の禁欲の後、精液の採取をおこないます(電話予約は行っておりません)。

    治療

    当院では不妊治療は行っておりません。精液検査の結果をもって、他の医療機関を受診していただくことになります。

女性のお悩み

  • 尿失禁

    おしっこが漏れてしまう状態です。主に3つのタイプに分かれます。

    [腹圧性尿失禁]咳、くしゃみ、思い物を持った時など、お腹に力がかかった時の失禁です。加齢、女性ホルモン量の低下、多産、肥満などによる、括約筋(かつやくきん:尿道の出口の筋肉)の筋力の低下が原因です。

    [切迫性尿失禁]過活動膀胱の方に起こる失禁です。おしっこをがまんできず、思わず漏れてしまうタイプです。

    [混合性尿失禁]腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の合わさった状態です。

    検査

    [超音波検査]おしっこをした後に膀胱に尿が残っていないか(残尿)確認します。

    [検尿]おしっこに出血がないか、細菌がいないかなど、他の病気がないか確認します。

    治療

    まずは、骨盤底筋体操をお勧めします。

    [骨盤底筋体操]骨盤底筋とは膀胱、子宮、直腸を支えるハンモックのような筋肉で、この筋肉をきたえる体操があります。この体操を続けることで、約7割の方になんらかの効果があったと報告されています。ただし、少なくとも2か月以上は続けることが必要です。薬の治療も併用します。

    [抗コリン剤]おしっこを出そうとするとする神経の信号をやわらげます(便秘、のどの渇き、目のかすみをおこすことがあります。緑内障のタイプによっては使用できません)。

    [交感神経β3作動薬]おしっこを出そうとする神経の信号をやわらげます。

    このような薬の治療でもなかなか改善しない方には、当院では尿失禁に対しても、干渉低周波治療を行っております。

  • 急性膀胱炎

    膀胱に細菌感染をおこした状態です。おしっこの時痛い、おしっこが近い、おしっこに血が混じる、身のしぼる感じを認めます。基本的には、熱は出ません。女性に多くみられ、繰り返す方が多いです。体調がよくない時など免疫力が落ちた時、飲水量が少ない時、おしっこをがまんし過ぎた時などに起こりやすいです。

    検査

    [検尿]おしっこに細菌感染がないか確認します。

    [尿培養検査]繰り返される方が多いので、おしっこを培養という検査に提出して、原因菌を調べます。

    [超音波検査]何度も繰り返す方には、かかりやすい原因がないか確認するために行うことがあります。

    治療

    薬による治療になります。

    [抗菌剤]抗菌剤(抗生物質)を5~7日のんでもらいます。

    [飲水指導]水分をしっかりとっていただくようにします。

主な検査や治療

  • 前立腺針生検

    前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSA(前立腺特異抗原)の値や、
    MRI検査、直腸診(肛門より指を入れて直接前立腺を触る検査)などで、前立腺がんが疑われる方に行います。

    検査

    実際に、前立腺に針をさして、その針の中に前立腺の細胞を取り込んできて、その細胞を顕微鏡検査(病理検査)を行い、がん細胞があるかないか確定します。当院では、1泊2日入院で行っております。ただし、後でご紹介する合併症が起きた場合は、入院期間が長くなる可能性はあります。

    検査方法

    1. 検査室に入室します。血圧など測定します。抗菌剤の点滴をします。
    2. ベッドの上に横向きになっていただき、エビのように体をまるめて頂きます。仙骨(後ろの腰骨)にある骨のすき間から針をさして麻酔をおこないます(仙骨麻酔)。検査を行いたい部分のみ痛みがとれます。10分くらいしたら効果が出てきます。
    3. 婦人科の診察の時のように、大きく足を開く格好になっていただきます。
    4. 肛門より専用の超音波の器械を挿入し、前立腺の位置を確認します。
    5. 超音波の画像をみながら、前立腺に針を10~12か所(場合によってはそれ以上)さして、その針の中に前立腺の細胞を回収します。この細胞を、顕微鏡検査(病理検査)に提出することになります。
    6. 肛門からの出血の具合などを確認して、退室となります。

    検査自体は15分程度、麻酔などを含めて検査室にいる時間は1時間程度です。

    検査後

    回収した前立腺の細胞は、専門の医療機関に送り、そこで専門医より顕微鏡検査(病理検査)をおこなってもらいます。結果は、7~10日かかりますので、外来にその頃に来院していただき、結果をご報告いたします。

    もし、前立腺がんがみつかった場合は、前立腺から違う場所に転移していないか画像検査を行います(近隣の総合病院に依頼いたします)。その画像検査をふまえて、今後の治療方針を決定することになります。前立腺がんがみつからなかった場合でも、安心はしていただいて良いのですが、今回の針の検査にたまたま当たらなかった小さな前立腺がんが隠れている可能性もあるので、引き続きの定期検査が必要となります。

    合併症

    [血尿]前立腺の中を尿が流れているので検査後は、おしっこに血液がしばらくまじる可能性がありますが、数日で落ち着きます。いったん落ち着いても、1週間後に再度、血のまじったおしっこが出ることがありますが、こちらも次第に落ち着くと思われます。

    [血便]肛門の中から針をさすので便にも血液がまじる可能性があります。こちらも数日で落ち着きます。

    [排尿障害]前立腺に針を数か所さすことによって、一時的に前立腺がむくんでしまい、おしっこが出にくくなる可能性があります。特に前立腺肥大症もあるかたに起こりやすいです。こちらも次第に落ち着きますが、あまりにもでないようであれば、チューブでおしっこを出します。

    [前立腺炎]前立腺に針をさすことによって、前立腺に細菌感染がおこり、発熱、おしっこの痛みなどをおこすことがあります。これを予防するために、検査中、検査後と抗菌剤を使いますが、それでも稀ではありますが感染することがあります。その場合は、申し訳ございませんが、入院が1週間程度延期となり、抗菌剤の点滴治療が必要となります。

  • 干渉低周波治療

    おしっこが近い、こらえらない尿意を感じるなどの過活動膀胱の方や、おしっこが漏れてしまう尿失禁の患者様の中で、薬による治療の効果が十分に得られなかった方に行います。治療の費用は保険が適応されます。

    治療

    専用の機器を用いて、膀胱および膀胱周辺の排尿筋、骨盤底筋を刺激することで、おしっこの回数を減らしたり、漏れを減らすことを期待します。安全で簡便な治療法で、高齢者や合併症の多い患者様でも安心して行えます。外来、通院で行います。

    治療方法

    1. ベッドに寝ていただきます。
    2. 専用粘着バッドを下腹部に2枚、お尻に2枚、合計4枚貼ります。
    3. そのまま、20分の間、ベッドに寝て頂くだけです。着衣のまま治療を行えます。

    効果を感じるようになるまで、通院で、数回、行います。

性感染症内科

近年、性感染症(性病)、とくに梅毒を中心に増加傾向にあります。(熊本県は特に全国的にも梅毒患者の増加が多い県とされています)

  • 梅毒

    「トリポネーマ・パリダム」という病原菌の感染で、近年増加傾向にあります。
    約3週間の潜伏期間を経て、陰茎、外陰部にしこりや潰瘍ができます。足の付け根のリンパ節(そけいリンパ節)が腫れたり、全身に湿疹ができたり、いろいろな症状がでます。

    検査

    [観察]実際にみさせて頂きます。

    [採血]梅毒の感染を確認します。感染の初期のころは、陽性とならないことがあるので、時間をおいて再度採血することもあります。

    治療

    [抗菌剤]薬の治療となります。

    必ずパートナーの検査もお願いします。

  • 性器ヘルペス

    ‘単純ヘルペスウイルス(主に2型)‘というウイルスの感染です。陰部に痛みをともなう潰瘍を認めます。再発を繰り返すことが多い病気です。初めての感染の場合、症状が強いことが多いです。

    検査

    [観察]実際にみさせて頂きます。

    [ウイルス抗原皮膚検査]綿棒で潰瘍の部分をこすって組織を回収して、その中に単純ヘルペスウイルスがいないか確認します。

    治療

    [抗ヘルペスウイルス薬]内服薬と軟膏の治療となります。ただし、これらの薬はヘルペスウイルスを殺す治療ではありません。潰瘍が治ってもヘルペスウイルス自体は、体の奥の神経の間に隠れていて、免疫力が低下した時などに、陰部に戻ってきて同じ症状をおこす可能性があります。また、必ずパートナーの検査もお願いします。

  • 淋菌感染症

    `淋菌‘という細菌の感染です。1週間程度の潜伏期間を経て、男性の場合はおしっこの出口からウミがでたり、おしっこの際に強い痛みを認めます。女性の場合は、黄色いおりものが出たり、おしっこの際の痛みを認めます。

    検査

    [検尿]おしっこに細菌感染がないか確認します。

    [培養検査]男性の場合はおしっこの出口から、女性の場合は膣から綿棒でウミを取ってきて、淋菌の確認をします。

    治療

    [抗菌剤]薬の治療となります。最近は抗菌剤の点滴(30分程度)を1回行うことが勧められています。また、必ずパートナーの検査もお願いします。

  • クラミジア感染症

    `クラミジア・トラコマティス‘という病原体の感染です。2週間程度の潜伏期間を経て、男性の場合はおしっこの出口からさらさらした液がでたり、おしっこの際に軽い痛み・違和感を認めます。女性の場合は、おりものに異常を認めることがありますが、症状がないことが多いです(ただし、これは逆に厄介なことで、知らずに他人にうつしたり、妊娠に影響を及ぼすことがあるので注意が必要です)。

    検査

    [検尿]おしっこに細菌感染がないか確認します。ただし、クラミジア感染症はおしっこに異常がないことが多いです。

    [尿PCR検査]おしっこをPCR(核酸増幅)法をもちいて、クラミジアがいないか確認します。

    治療

    [抗菌剤]薬の治療となります。また、必ずパートナーの検査もお願いします。

  • 尖圭コンジローマ

    ‘ヒトパピローマウイルス‘というウイルスの感染です。比較的長い潜伏期間を経て、陰部にカリフラワーのようなイボができます。通常痛みはありません。

    検査

    [観察]実際にみさせて頂きます。

    治療

    外用薬もありますが、手術療法が主になります。

    [手術]‘尖圭コンジローマ焼灼(しょうしゃく)術‘を行います。当院では、外来、日帰り手術で局所麻酔下に電気メスでイボを焼き切る治療を行っております。ただし、この手術はイボを取り除いても、ヒトパピローマウイルスが皮膚の深い部分(基底細胞)に隠れてしまい、再びイボができてしまう可能性があります。また、必ずパートナーの検査もお願いします。

なお、女性の方に関しましては、
他の婦人科の病気が疑われる場合や、婦人科的な検査・処置が必要な場合は、
近隣の婦人科病院をご紹介させていただいております。

透析科

透析療法は、腎臓の機能が低下した患者さんが生命を維持するために必要な治療方法の一つです。熊本市内の透析中核病院と連携を図り、安全で効率的な透析医療を提供することを目指しています。

人工透析について

透析治療(以下「人工透析」)は、本来は腎臓が果たすべき血液のろ過という役割を、ダイアライザーと呼ばれる人工腎臓や腹膜を利用して代わりに行うことです。

何らかの病気を患い、それに伴って腎臓の働きが悪化した場合は「腎不全」と呼ばれます。そしてこの腎不全がさらに重度化し、腎臓の機能回復が見込めなくなった状態が「慢性腎不全」です。慢性腎不全になると、血液の中にある老廃物や水分を自分の力で体の外に出せなくなり、思考力の低下や倦怠感、不眠、頭痛、吐き気などの「尿毒症症状」と言われる症状が現れます。それによって日常生活を健常者のように送れなくなり、生命の維持ができなくなるような場合に、人工透析が必要になるのです。

血液透析を受けるための「シャント」

血液透析を受けるためには、まずシャント手術を行います。この手術では動脈と静脈をつなぎ、血管を太くして血液の取り出しや返血を容易にします。術後、1〜2週間ほど経ってから血液透析を開始します。

シャントは透析患者さんにとって命綱です。そのため、シャントの管理は非常に重要であり、毎回透析の前後にシャント状態の観察を行っています。当院の臨床工学技士の6割がシャントの超音波検査(エコー検査)を習得しており、シャントの状態に応じて検査を実施し、早期発見・早期治療に努めています。

シャントの画像

安全で安定した
透析ライフを送っていただくために
透析治療において、きれいな透析液を使用することはとても重要で、より良い治療を行うために不可欠です。そのため当院では、透析液の清浄化に取り組み、超純水透析液を使用しています。また、患者さんの病態や症状に応じて、超純水透析を使用したオンラインHDFやiHDFを実施しています。

一人当たりの透析液量:1回120L〜150L

透析液の清浄化は、生命予後の改善、栄養状態の改善、炎症物質や手根管症候群の抑制など、さまざまな効果が報告されています。

臨床工学技士よりメッセージ

医療技術と同様に、機械も日々進歩しています。

透析医療はこれらの機械なしでは行えません。安全な透析を提供するために、定期的なメンテナンスと管理を行っています。しかし、臨床工学技士として機械だけに特化せず、患者さんとのコミュニケーションを大切にし、個々に応じた透析条件を設定することを心がけています。今後も医師、看護師、臨床工学技士、栄養士と連携し、より高度な医療を提供できるよう日々努力していきます。

提携病院

透析患者様が腎不全・泌尿器科以外の病気をお持ちの場合でも、透析に支障がないよう近隣の病院と連携して治療を行っています。熊本市内の透析中核病院とも協力し、安全で効率的な透析医療を提供することを目指しています。

  • 熊本大学病院
  • 国立病院機構熊本医療センター
  • 熊本赤十字病院
  • 熊本市民病院
  • 熊本機能病院
  • 国立再春荘医療センター
  • 熊本中央病院
  • 済生会熊本病院

旅行透析についても随時受け付けております。
熊本を訪れる予定の方は、事前にお電話でご相談いただければ、
ご希望に添えるよう可能な限り対応いたします。